「ロータリーで車があなたを待っているので、下りてきてください」とドアマンが告げた。
彼女がロピーに下りていくと、ドアマンがロータリーの右端に駐車している白いベンツを指さした。
ラリー・タンが週末レンタルした車だった。
ドロシーは助手席にすべりこんだ。
ラリーはちょっと緊張した面持ちで「元気そうだね」と軽く挨拶し、「最近コネチカットの家を売却したり、雑用で忙しくて、あなたとあまりゆっくり話ができなくて申し訳ないと思っている」と早口に言い、「これを開けてごらん。
気に入ってくれればいいけれど」と白いリボンがかかったティファニーの水色の箱を、ドロシーに差し出した。
「何かしら、お誕生日のプレゼントでも母の日のプレゼントでもないわね」と、ドロシーは楽しそうに言い、リボンをほどきかけた。
ラリーは「あなたの誕生日はバレンタインデーの二目前で、母の日がまだ一週間先だということは知っているよ」と言い、「私の誕生日をどうしてご存知なの」とドロシーが驚いて振り向くと、「そのくらいはすぐに調べられるよ。
つまり、僕はどういう理由づけであなたを喜ばせるか、悩んだのだがね」とちょっと口ごもった。
その聞にドロシーは素早く箱を聞いた。
細かいダイヤが網状にちりばめられた、アンティークなデザインのプラチナの繊細なネックレスが日暮れ時の薄い閣の中で輝いた。
「ラリー、すばらしいわ。
ありがとう。
レースのようでとても美しいネックレスだわ」とドロシーは感嘆し、箱から取り出し、その宝石を大事に首の回りに着けた。
彼女の開襟のシルク・ブラウスにV字型のレース模様のネックレスがとてもよく似合っていた。
「ドロシー、僕はあなたの指輪のサイズを知らないし、あなたがピアスをしていたのかイヤリングをしていたのかすら思い出せない。
アメリカで長く生活しながら、情けないことに、アメリカの女性をどう喜ばせるか学習したことがないんだ」とラリーは照れながら、彼女の着けたばかりのネックレスを指で撫でながら、ドロシーの首筋に触れた。
「あなたの細い首にはこのデザインが合うと思ったが、予想通りぴったりだ」と微笑んだ。
「本当にありがとう。
今宵はこのネックレスを着けたまま夢心地で眠れそうだわ」とドPンーはうれしそうに言った。
ラリーはその手を彼女の首の後ろに回し、彼女を引き寄せながら「僕はその横であなたが眠りにつくのを見たい」とささやいた。
ラリーはロータリーから車を動かし、近くの路上にとめた。
そして、すぐにふたりは早足でドロシーのアパートへと向かった。
イースト・リバーに面したドロシーのアパートからは、夕焼けに反射して深い色に変わってゆく水の色と、ライトアップし始めたクイーンズボロ・ブリッジが見えた。
あたりに暗聞が漂い、ラリーはベッドの横に腰掛け、やがてドロシーはネックレスだけを着けたまま、ともにシーツの聞にすべりこんだ。
ラリーはドロシーの側のシーツをそっとつまんで「オランピアの裸体のようにすごくきれいだ」と感嘆し、彼女に触れた。
そして、「マネのあの絵があるのはオルセー美術館だったかしら」とつぶやくドロシーの唇をふさいだ。
彼女は、ラリーの背中の滑らかさに感動した。
翌朝、ごみを収拾するトラックの騒音でドロシーは目が覚めた。
あたりはすでに薄明るく、体をよじってサイドテーブルの時計を見ると六時過ぎだった。
ラリーは飛び起きて、「これは大変だ。
車を七時までに動かさないと駐車違反になってしまう」と一言い、あたふたしながらベッドの横に脱ぎ捨ててあったワイシャツに袖を通し始めた。
ドロシーは眠い目をこすりながら、ラリーがあわててベッドの下に散らばったソックスをひとつひとつ拾い集める姿を、おかしさをこらえて見ていた。
ラリーはリビングルームのソファの上に置いたジャケットを取りに行きながら、「今日の昼過ぎに必ず電話します。
それから万が一、あなたがそのネックレスが気に入らなかった場合、そう言ってほしい。
購入日から三〇日以内であれば別の宝石と買い換えることができるので」と告げた。
「ラリー、ご心配なく。
万が一にも、私はこのネックレスを手放さないわ。
オランピアの真珠のネックレスのようにずっと着けています」とドロシーは答えた。
ラリーは、ベッドに横たわるドロシーのそばに腰掛け、うれしそうに微笑み、彼女を引き寄せた。
「あなたが今、幸せだって言ってほしい」とラリーは真剣な面持ちで言った。
「私は今とても幸せよ」とドロシーはきちんとラリーを見つめ、閉じ言葉を繰り返した。
それは真実だった。
ラリーは彼女の髪を撫で、「そのままで起きてこなくていいから」と言い残し、彼女のアパートから去って行った。
ドアの閉まる音が聞こえたとき、「でも、私はオランピアのごとき娼婦ではないわ」とドロシーは心の中でつぶやいた。
二〇〇三年五月末のメモリアルデーの前の週末にかけて、ドロシーはマチとふたりでスミス・カレッジに向かった。
マチがオープンカーをレンタルし、金曜の朝、一O時過ぎにドロシーのビルのロータリーに乗りつけた。
ふたりは久々にうきうきした気分だった。
「あなたのアパートからはすぐにFDR(マンハッタン島東側の高速道路)に出られて便利なのね」と、マチはハンドルを切った。
カレッジのリユニオン(同窓会)は、卒業年から五年おきにキャンパスで聞かれる。
例えば二〇〇三年のリユニオンには、最も新しい五年前、九八年の卒業生から、九三年、八八年、八一二、:::四三年の卒業生までがキャンパスに招待される。
リユニオンに参加する卒業生は、キャンパスに散在するハウス(学生用寄宿舎として利用されている邸宅)に三日間宿泊し、学生のときと同じようにハウスのダイニング・ルームで食事をし、さまざまなキャンパスのイベントに参加し、懐かしい教授たちとのランチやディナーを楽しむ。
マンハッタンからマサチューセッツ州のノーサンプトンまでの約一五〇マイルのドライブを、ふたりは、一九八七年の夏にワシントンDCのサマースクールにいっしょに行ったこと、アジャミ教授のことなど記憶をたどりながら、おしゃべりを楽しんだ。
キャンパスに戻るのも一五年ぶりだった。
ふたりは一時過ぎにノーサンプトンに到着した。
キャンパスには白と黄色の縞模様のテントがあちこちに張られ、その下に卒業年度ごとにチェックインをする受付が設けられていた。
ふたりが指定の受付に行くと、ボランティアの学生がふたりの名前をチェックし、「宿泊は、オルブライト・ハウスです。
こちらにどうぞ」と言って、ふたりの荷物を持ち先頭に立って、案内し始めた。
ドロシーは「あなたもオルブライト・ハウスに住んでいるのかしら」と聞くと、彼女は「私はジレットです」と言い、マチが「私が大学一年のときにいたハウスがジレットだったわ」と笑った。
ハウスとは大学の寄宿舎の総称で、一九世紀終わりから二O世紀初めに建てられた大きな一軒家がカレッジの広い敷地内に点在している。
ウーマンリブが盛んになるカルチャー・レボリューションの以前には、それぞれのハウスに「ハウス・マザー」とよばれる年配の女性が住み、学生のカウンセラーとしてさまざまな相談にのっていた。
ハウスには今でもキッチンとダイニング・ルームがあり、専門の料理人と掃除婦が通いで来ていた。
月極駐車場の真髄を極めてみませんか?月極駐車場があればかなり良いところまでいけそうです。
いろんな月極駐車場だけあれば充分だと感じました。安全なまちづくりを実現させる為の月極駐車場です。
月極駐車場の差に驚きました。月極駐車場効果の高い商品です。
存在感のある月極だけあれば充分だと感じました。基本機能も充実した月極です。
月極の最安価格が変動しています。月極キャンペーンを実施中です。
現時点で最高の月極のマニアックな情報をお届けします。地域資源を活用した月極です。



